
冬の時期にやっかいなのが、大雪、吹雪などの悪天候による飛行機の欠航。まずは雪で飛行機が欠航になってしまう条件を解説したいと思います。
● 滑走路の積雪状況
滑走路に雪が積もると、飛行機の離着陸に影響があるため「滑走路の積雪状況」は飛行機が欠航になる大きな要因です。
雪の状態はその日の天候や地域によって異なるため、雪の種類を分けて考えられています。
「slush」
雪が水分をたくさん含んでいる状態。フローズン🍹のようなイメージ。
「wet snow」
Slushほどではないものの、こちらも水分を多く含んだ雪のこと。ベチャベチャな雪の状態。
「dry snow」
雪が降って時間が経っていない水分をあまり含んでいない雪のこと。雪玉を作ろうとしてもサラサラと崩れるくらいの固さの雪を指します。
国土交通省の規定では、滑走路が以下の条件に当てはまる場合の離着陸は禁止されています。
・積雪13mm以上で水あるいはSlush
・積雪51mm以上のwet snow
・<離陸時>積雪71mmのdry snow
・<着陸時>積雪153mm以上のdry snow
…これを見てこう感じませんか?
「羽田でそんなに降るんかいな」と。
積雪すると滑走路が滑りやすくなるため、滑走路の長さも欠航・運航を判断する決め手となります。
大規模な国際空港は3000m~4000mの滑走路を確保しているのが一般的ですが、滑走路の短い空港は欠航になる可能性がより高いと言えます。
羽田滑走路の長さは
A滑走路…3,000m
B滑走路…2,500m
C滑走路…3,360m
D滑走路…2,500m
なので、B・D滑走路あたりは少し短いかもしれませんね。他にも欠航する条件を説明しましょう。
● 横風
欠航する・しないの判断で重要なのが、離着陸時の滑走路の「横風の強さ」です。
雪が降る時は風が強くなることも多く、滑走路に対して直角に吹く横風や雪による視界不良も、欠航につながる要因となります。
飛行機は時速900kmで飛んでいるため、理論上は進行方向からくる風(向かい風)の影響をあまり受けませんが、横風に煽られると、離着陸の滑走中に進行方向を真っすぐに修正する必要があります。 雪で滑りやすくなった滑走路では修正が難しくなるため「雪の滑りやすさ+横風+視界の悪さ」で欠航を余儀なくされることがあります。

ちなみに羽田空港の4本の滑走路の向きは、こんな感じ↑です。普段 冬の北風では、風の影響をもろに受けるので着陸はA滑走路とC滑走路のみで運用しています。
風の向きによって使用できる滑走路が限定されるので、飛行機の便数が減り欠航になることもあります。
● 飛行機の状態
欠航になる3つめの要因として、「飛行機の状態」も挙げられます。 飛行機の翼は少しでも変形したり、重さが変わったりすると揚力をうまく使えず飛べません。
↓雪の多い空港では、翼に積もった雪を溶かしたり、翼に雪が積もることを防ぐために飛行機に「防除雪氷液」と呼ばれる融雪剤を散布しています。

普段雪が降らない羽田空港では、この作業に時間がかかってしまうため、欠航する要因の一つとなります。
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